龍神沼の自由帳

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第2次上海事変の背景

 蒋介石率いる国民党政府は自信をつけていた。経済改革の成功、抗日排日的政策に対する国民からの支持、ドイツ、ソビエトアメリカからの援助とそれによる軍事力の強化、そして日本政府の弱腰とも取れる日和見的な外交と日本国政府及び軍部の対中国政策における足並みの乱れ、種々の要因が彼らを日本との軍事的対決に駆り立てていた。何よりも大きかったのは、軍事的政治的な譲歩につながったものの強大な日本軍を苦しめると共に国民からの圧倒的な支持を得た上海事変の経験だった。
 北支における国民党政権による軍事的挑発によって起こった日中の武力衝突は、いったん収まりかけたものの日本との対決を望む蒋介石の指示により各地に飛び火、国民党はその軍を上海方面に集結、ゼークトラインと呼ばれる要塞線に日本軍を誘引しその撃滅を図った。ドイツ軍事顧問団により構築されたその防衛線を中心に動員された中国軍は、前面兵力だけでも33万人、後方部隊を含めると約75万人の戦力が上海方面に送り込まれていた。対する日本軍の戦力は遣支艦隊を除けば、上海租界地区の邦人の保護の為派遣されている上海特別陸戦隊の4000名のみであった。そして8月13日、中国軍は上海において航空攻撃と地上攻撃を日本軍に開始した。