龍神沼の自由帳

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海の牙城3巻『本土強襲』を予想する

 マリアナ攻略失敗を受けて米海軍の発言力が低下。陸軍主導によるフィリッピン奪還作戦が発動される。カロリン諸島に対する米軍の圧力が強まる。トラックの守備兵力撤退作戦が図られるが、マーシャルに陣取る米機動部隊のため成功の可能性が低い。
 山本の遺産発動、連合艦隊第一機動艦隊は翔鶴瑞鶴大鳳飛龍蒼龍武蔵の6主力空母に剣と乗鞍を加えた8空母を主力とする第一遊撃隊を編成、艦隊は北に向かって進路をとる。一方パラオには新鋭装甲空母信濃と同じく装甲空母伊勢日向、小型空母穂高白馬を主力とする第二遊撃隊が集結、トラック撤収部隊である第三遊撃隊と共にマーシャルの米軍の動向を伺う。1945年7月初旬、ダッチハーバー沖に潜伏する潜高小より天候良好との報が入るや、隠密裏にアリューシャン方面に進出していた第一遊撃隊から戦爆連合260機が発艦、ダッチハーバー在港艦船及び同地の飛行場に攻撃を加える。更に第2次攻撃隊140機が戦果を拡大、同地の米軍海空戦力の撃滅に成功する。同日夕刻金剛榛名の2戦艦を含む水上打撃部隊が、ダッチハーバーの陸上施設にたいする砲撃を敢行。第一遊撃隊はダッチハーバー攻撃後更にアリューシャン方面の米軍基地に攻撃を加え続ける。猛将ハルゼー率いる第3艦隊は帰投する日本軍機動部隊を捕捉撃滅すべくマーシャルから出撃したものの、会敵することあたわずむなしくマーシャルに戻った。ハルゼー艦隊の不在の隙を衝いて第二、第三遊撃隊が出撃、第二遊撃隊のエアカバーのもとトラック守備隊の撤退を成功させた。
 ダッチハーバーに対する空襲と艦砲射撃は、一般人が居住する米本国に対する日本軍の初の直接攻撃であり、米政府や軍部だけでなく米国民にも大きな衝撃を与えた。米政権は大統領選挙直前のこの衝撃を、より大きな戦果をもたらすことによって解消することを図る。マリアナ制圧、一時はフィリッピン方面に対して攻勢をかけることで、日本の生命線である交通線を断ち切り日本の弱体化を実現する方向に進みかけていた米太平洋戦略は、再びマリアナから直接日本本土を叩く戦略に引き戻されてしまう。
 太平洋艦隊は時間の余裕を与えられなかった。再攻略作戦開始は8月中旬、マリアナで航空攻撃を受けた2隻の戦艦は修理が間に合わず参加できなかった。完成直後だったモンタナ級2番艦も練成不足のために参加を見送られた。替わりに大西洋からワシントン、ノースカロライナが送り込まれた。戦艦戦力の不足を補う為モンタナは後部2砲塔未修理のまま応急修理の状態で出撃した。そのほか旧式戦艦が大西洋からの増援を含めて6隻参加している。航空戦力は正規空母8隻軽空母8隻、そのほか護衛空母18隻が上陸部隊と共に行動するという強力な空母機動部隊だったが、前回の航空戦で受けた損害は大きく航空機の補充こそ完了しているが、搭乗員の錬度は大きく落ち込んでおり、訓練時の事故が多発していた。また戦艦以外の護衛艦艇も、前回の戦いで多くの喪失損傷艦を出しており、修理補充が追かず機動部隊外周の防空戦力の不足が艦隊司令部より報告されていた。しかし作戦は発動される。昭和19年8月、再びマリアナ沖に戦雲が広がりつつあった。
 第4巻『マリアナの残照』に続く。