レバノン*1で発生している事象について考えてみる。最初に浮かぶ素朴な疑問は、戦争はそれによって幸福になる者より不幸になる者のほうが圧倒的に多いにもかかわらず、本来人を幸福にする為に存在すべき宗教者がその戦争を指導して、結果的に多数の信仰者を死に追いやっていることである。これは我々日本人が考える宗教者の姿からかけ離れている。かつて日本においても、一向宗やキリスト教による権力に対する抵抗戦というものが存在した事実はある。結局日本では内戦という形をとった宗教が引き起こした騒乱は、神の支配による信仰者の王国が否定されることによって終結した。一方世界史的には宗教者が権力を握ってしまった国家も多数ある。英国における清教徒革命などを別にすると、その多くはイスラム教徒によってなされている。最近ではアフガニスタンでのタリバン革命、そして現在進行中のソマリアでのイスラム原理主義者による統一戦がある。イラクで続くテロや、ハマス･ヒズボラによるイスラエルに対する抵抗戦、アメリカとの対立志向を続ける宗教国家イラン、いずれもイスラム原理主義を信奉する集団･国家によって中東を中心に世界は混乱混迷の中で流血と硝煙にまみれる状態が続いている。
まあ宗教がらみ、民族がらみの抗争はスリランカから黒海沿岸、アフリカ大陸、中国西域など世界中に存在するわけだが、その中でイスラムが関っている部分は非常に大きな割合を占めている。イスラムは他宗教との対立抗争だけでなく、同じイスラム内においても、イラクでスンニ派とシーア派が対立し流血の抗争を続けているように、この宗教は非常に闘争的性格の強い宗教のようである。これはイスラム教が砂漠と荒地が多く酷暑で雨の少ない厳しい環境の中で発生したことが影響しているようで、厳格な戒律によって統制しなければ即刻命にかかわるような状況で生成されたその教義は、特に現代において他者への寛容を喪い苛烈な忠誠心を信仰者に求めているように思われる。その結果が自殺攻撃や無差別テロにつながっており、更にその行為自体がよりエスカレートした宗教テロを再生産していく発生源になっている。それとともに、半ば職業化した宗教抗争を専門に扱うイスラム原理主義武装集団が、中東でのイスラムがらみの紛争の深刻化にともなって増大する難民や失業者を吸収しつつ拡大し続けている。彼らイスラム原理主義武装組織は、その組織の維持拡大のために常に宗教紛争や宗教要因の政治的対立を必要とする。そのため彼らの存在そのものが、イスラム紛争のの平和的解決を阻害する要因となっている。この傾向はイスラム諸国の人口爆発とそれにともなう貧困や失業者の増大によってますます拡大しており、自らの生命以外なんら持たない底辺にあえぐ民衆は、宗教に対してその命を贖うことで神の国への道を開こうとする。イスラムの人命に対する価値観は我々日本人が属する先進諸国と大きく違っているのだが、当然のことながら彼らは自分たちの価値観で他者に対して働きかけをする。つまり一人一人の命の尊厳になんらの価値も認めず、無差別に殺戮するテロ行為をイスラム原理主義者は仕掛けてくるのだ。彼らにとって、彼らが殺した人間それぞれの存在は意味をもたない、彼らにとって意味があるのは何人死んだか、殺した人間の数が彼らの行為を評価する価値判断の基準となっている。文明社会に住んでいる我々には到底許容することのできない思考方法が、彼らにとっては神が示した道であるわけで、イスラム原理主義武装組織はそれ以外のあらゆる人間集団と現状のままでは解かり合い相容れることはないだろう。そして現代世界の混沌のうちのひとつを解消するためには、暴力の行使以外に問題解決の手法を持ち得ないイスラム原理主義武装集団に対しては、流血の悲劇をおこしてさえもその解体を行う以外手段はない様に思うのである。
ていうか〜、今回のヒズボラのイスラエル兵拉致って、ハマス穏健派とイスラエルの出来レースでハマス政権の障害になるシリア影響下のハマス強硬派を叩き出すのが目的だったのを、核兵器開発問題から世間の目を逸らしたいイランと地盤低下を挽回したいシリアがヒズボラを炊き付けて、ハマスから強硬派がいなくなったら次は自分たちの番だと考えたヒズボラ強硬派が暴発したのが原因でしょ。でもバックが問題児のイランとシリアなもんで国際世論はヒズボラに批判的で、かえってアラブ内も含めて国際的に孤立しちゃってるって言うのが今の状況。イスラエルも、このままやっちゃったほうが後々の中東和平がやりやすくなるって考えたアメリカの同意まで取り付けて 、行け行けどんどんでヒズボラ潰しに走ってて、追いつめられたヒズボラが無差別テロに走りそうなのがこれから先の展開かなあ。しかしイランのDQN大統領もノムヒョンと一緒で始末に負えませんな〜。人気取りのために他国との対決政策を採るのはいい加減止めたらいいのにね。
