龍神沼の自由帳

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重巡洋艦の雷装撤廃を受けた水雷戦力の補完構想

 試案1)重雷装巡洋艦
 5500t級軽巡を改造、主砲の一部や航空兵装を撤去、両舷に多数の魚雷発射管を装備する案は一部実行に移された。5500t級軽巡については、重雷装艦計画以外にも防空巡洋艦、機動輸送艦、対潜巡洋艦(護衛戦隊指揮艦)等の計画があったため、重雷装艦に改造されたのは北上、大井、由良、名取の4隻だった。多数の発射管を甲板上に並べる為被弾に弱く強襲攻撃に使い難かったことも、改造が4隻だけだった要因に挙げられる。最終的に53cm発射管を両舷合計60射線並べる形で就役した。
 試案2)古鷹型改装重雷装艦
 既に旧式化が進んでいた古鷹型重巡4隻を40射線の重雷装艦にする案。主砲6門は撤去し代わりに60口径155㎜連装砲2基を艦前部に背負い式に配置する。古鷹型が最上型に準じた水雷戦隊旗艦用巡洋艦に改装されることが決定した為取りやめになった。
 試案3)重雷装駆逐艦
 ロンドン条約の枠内で多数の発射管を持つ駆逐艦を計画、雷装は61㎝9射線案、10射線案、12射線案15射線案、さらに53cm15〜20射線案などが出されたが、汎用性に欠けることと、特型駆逐艦以前に建造された一等・二等駆逐艦の旧式化により艦隊型駆逐艦が不足するため艦隊型駆逐艦の建造が優先されたことで廃案になった。
 試案4)2000t級艦改造計画
 ロンドン条約枠外で建造できる2000t以下の艦枠を利用して輸送艦を建造、600t水雷艇で計画されていた船体延長・機関増設の手法をそのまま流用、急速改造により戦時に基準排水量3000t速力35ノット、61㎝5連装発射管3〜4基を装備する大型駆逐艦として戦力化する計画。いっせいに改造することになるため、3000t級の乾ドックを多数手当てする必要があること、改造工程が複雑になり期間・費用ともに大きくなることが予想された為廃案。輸送艦の計画自体は進行1500t級の一等輸送艦として建造されている。
 試案5)3000t級輸送特務艦改造案
 試案4の代案として考案された、ロンドン条約枠外で建造できる一万トン以下の特務艦を利用して3000tの輸送特務艦を建造重雷装艦に改造する案。艦設計時に機関の増設スペースや魚雷搭載スペース更には追加装甲による重量増まで組み込んだ設計を施し、最小限の工程で重雷装艦への改造ができるよう図っていた。紆余曲折の結果、この輸送特務艦改造案が採用され3000t級輸送特務艦が大量に建造されることになる。この輸送特務艦は改造前は積載量最大800tの有力な輸送艦として運用でき、拡大された海軍陸戦隊の輸送手段として良好な運用実績を発揮した。