龍神沼の自由帳

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【大妄想】覇者の戦塵"ブーゲンビル逆上陸戦"其の1【超逆転】

 (第一章) 蓮見大佐
 ミッドウエイでやりすぎた蓮見大佐、内地に帰還すると第一線部隊から外され次期海兵隊主力戦爆の検討委員会の長を命じられる。各航空機メーカーを訪問調査するうち、川崎航空機に未完成の機体が大量に放置されている情報を得る。直ちに現地に赴く蓮見大佐、事情を知ると陸軍上層部に対して運動を開始する。当時川崎の飛燕同様液冷式発動機の不調に苦しんだ艦上爆撃機彗星は、発動機を金星に変更することで生産性、稼働率の向上を図った。その結果として、愛知で生産されていたアツタ水冷式発動機に大量の余剰が出ていたことを蓮見大佐は掴んでいたのだ。余っている発動機を陸軍に譲るから代わりに首無しの飛燕を少しだけ分けて欲しい、どこを押せばそんな横車が通るのか判らないが、陸海軍の裏事情に通じた蓮見大佐は海兵隊時期主力戦爆として発着艦能力を持つアツタ発動機32型を装備した飛燕を60機余り調達することに成功する。

         海兵隊主力戦闘爆撃機"海燕"
 陸軍三式戦闘機飛燕の海兵隊仕様、発動機はハ40からアツタ32型に変更、着艦フックを装備、機体も艦載用に強度を高めている。武装はミッドウエイで大量に鹵獲されたブローニング.50口径を機首に2丁主翼に4丁計6丁搭載、爆弾最大搭載量500㎏、最高速度610km/h、航続距離2600㎞(増漕装着時)。
 ニューギニア戦で活躍した三式戦闘機に対する陸軍の期待は大きく、川崎航空機は大幅な増産体制を求められた。昭和18年10月以降月産300機の生産体制が組まれることになる。しかしドイツ製発動機をライセンス生産したハ40は生産性が低く且つ歩留まりが悪く、必要とされる生産数を満たすことはできなかった。そのため既に昭和18年10月以前から川崎の各務原工場には発動機未装着の飛燕の機体が大量にストックされ始めていた。次期主力戦爆を選定中の蓮見大佐が聞きつけたのはこの首なし飛燕である。愛知製の発動機を搭載した海燕ではあるが、ハ40同様生産性の低さ整備性の悪さには悩まされた。しかし機動性の高い小所帯の海兵隊は発動機の種類を絞ることができた為、液冷に特化した整備員の育成と整備方式の改良を徹底し高い稼働率を実現することに成功した。
 液冷発動機の不調に悩まされた本家の陸軍は、昭和19年後半空冷式発動機を積んだ5式戦を登場させたが、海兵隊では戦争終結に至るまで液冷式の海燕で戦い続けた。

 前線にいても後方にいても騒動を引き起こす蓮見大佐、元の巣穴の連合機動部隊の司令として、ニュージョージア島上陸作戦部隊を引き連れトラック島に駐屯することになる。トラックなら連合艦隊司令部等が睨みを聞かせているから蓮見大佐もそう勝手はできないだろう、という判断からである。もちろんニュージョージアへの上陸など、予定どころか計画さえもほとんどできていなかったのはいうまでもない。