龍神沼の自由帳

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【大攻勢】覇者の戦塵"ブーゲンビル逆上陸戦"其の2【情報戦】

 (第2章)三二一空
 魚住飛曹長が新型の夜戦を受領してから2ヵ月後、三二一空はブーゲンビル島ブインに進出した。三二一空はブインに展開した当日から連日の夜間迎撃戦に投入される。ガダルカナルを基地とする米陸軍航空隊の重爆撃機は、毎夜欠かすことなくブーゲンビルへの夜間空襲を続けていた。1944年に入ってから実戦投入されてきたP-61夜間戦闘機が、ニュージョージア島から日本軍の空中管制機や夜間戦闘機を狙って飛来することもあって、自軍上空での電探管制を受けての迎激戦ではあったが、一瞬たりとも気を抜くことのできない戦場だった。米軍の襲撃は昼夜を分かつことなく続けられており、受ける日本軍も陸海軍の新鋭戦闘機を投入してこれに当たり、連日の空中戦によりブーゲンビル周辺は両軍航空機の墓場となっていた。日本軍も米軍の前線基地であるムンダ飛行場に対して反撃を続けていたが、攻撃力の不足から主に夜間空襲に頼っていた。
 4月に入ってすぐにブイン近辺にあらたに完成した飛行場に、ニュージョージア島攻略作戦の為海兵隊の戦爆隊が進出してきたその前後から、急速に米軍の攻撃頻度が低くなってき始めた。物量を誇る米軍も連日の損耗に息切れしたのだろうと噂されていたが、情報参謀などからは新たな攻勢のための戦力の集積にはいっているとの見方が出ていた。これを裏付けるようにニューギニア方面でも米豪軍の活動は積極性を欠いたものになっていた。陸海軍はこの時期ニューギニア方面及びビルマ方面で連合軍に対して攻勢を続けていたため、ソロモン方面では守勢に努めていたが、米軍が攻勢を控えている間に戦力を集中、一気にガダルカナルまでも制圧すべきだとの積極攻勢を企てる動きがでていた。