龍神沼の自由帳

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空母型標的艦摂津

 ロンドン軍縮条約において日本は、当時予備艦として在籍していた摂津*1を練習空母兼標的艦に改造する案件を要求し承認された。これに基づき摂津は機関部を換装艦尾を10m延長し速力19.5ノット排水量18000トンの、25ミリ鋼板で装甲された全通飛行甲板を持つ航空母艦として昭和8年11月に再就役した。摂津はロンドン条約の制限下に改造された為、固有の搭載機は持たず格納庫は整備用の小規模なものを艦内に装備、航空機用昇降機は整備用格納庫と飛行甲板を連絡するもの一基を搭載した。同艦は固有の兵装は持たず、練習空母としての機能は航空機の発着艦訓練にほぼ限定されていた。摂津の操船及び航空管制は右舷舷側に設置されたやや大きめの島型艦橋で行われた。煙突は当時の空母設計に習い右舷後方に誘導されている。また摂津は空母への改造と平行して無線操縦装置を装備し爆撃標的艦への改造工事も行われた。標的艦として使用時は乗員は退艦し無人状態で運用された。航空機の発着関連の装備は模擬弾によって損傷する恐れがあるため取り外し可能で、爆撃訓練中は艦内の専用格納庫に収容された。昭和11年ごろから爆撃訓練時に、爆撃回避操艦訓練を行うため有人で運用されることが多くなった。

*1:ワシントン条約の結果防御甲板と兵装を撤去し、標的曳航艦として特務艦籍にあった