龍神沼の自由帳

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烈海の航跡1

日本海海戦連合艦隊の追撃を逃れたロシア巡洋艦2隻による、ウラジオストックを拠点とした通商破壊戦の再開に対して、多数の主力艦が修理や整備のため戦列から外れていた海軍は一時的ではあるが有効な対抗手段を持つことができなかった。太平洋、日本海と神出鬼没で現れるロシア艦への哨戒線は広大な範囲にわたったため、航洋力に問題のある水雷艇やその他の中小艦艇までもが太平洋やオホーツクに駆り出されることになった。幾度と無く接敵の機会は訪れるのだが、駆逐艦程度の戦闘力では追尾するのが精一杯、反撃を受け戦没する艦艇も相次いだ。特に荒天下の太平洋では巡洋艦以上の艦艇で無いと波浪や強風の中自艦の航行さえままならない状況におかれることとなり、遭難する艦も少なくなかった。結局浦塩艦隊はウラジオストック帰投時を第2艦隊に襲われ再び壊滅してしまうのだが、この戦訓は以後の日本海軍の艦艇設計に大きく影響を与えることとなった。