龍神沼の自由帳

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中国が壊れたら

 なんか今年中国は旱魃がひどくて、東北地方とか華北のほうは水不足アンド食糧不足で大変そうです。かつての貧しい中国の頃なら、輸送にネックはありましたが南から北へと食料を融通するのもさして困難ではありませんでしたが、資本主義に目覚めたというか国中が金の亡者だらけになってしまった現代中華人民共和国におきましてはこれはもう一大ビジネスチャンス、当然ながら競い合って買占め売り惜しみの一大ページェントが始まるでしょう、っていうかもうすでに食料品の値上がりは始まっておりますが(笑)。で来年駄目押し的に南部の穀倉地帯に大水害とか起こったら、たぶんもう中国は駄目でしょうね。今でも国内各地で騒乱が頻発していますが、それに食糧不足が加わったらもう火にTNTを放り込むようなもので、食料を求めての暴動が大都市でいっせいに起こるでしょう。これを中央政府が抑えきれなくなったとき、地方で権力を養っていた実力者たちは、私兵を擁して半ば自己防衛のため半独立状態になるでしょう。
 まあここまでは中国で何度も繰り返されてきたことを擦るわけですが、問題はここからです。かつての中華諸帝国は国家の基盤を農においており、また国家の成立および維持の目的が民衆を食わせることにあったため、国内各所に穀倉を置き大量の食糧の備蓄をするという危機管理対策を採っていました。帝国崩壊の際は各自立勢力が自派の維持拡大のための基盤として、この穀倉を奪い合いました。しかし市場開放経済の現代中国においては、開放政策の進展とともに流通が自由化され半ば中央政府の統制を離れ、さらにかつては国家の基盤であった農業自体の生産力が弱体化し、一昔前までは穀物輸出国であった中国がいまでは穀物輸入国に成り下がっています。当然国内での食糧備蓄など13億の民衆が奪い合えばあっという間に尽きてしまいます。食料を押さえ生産基盤を確保し勢力拡大を図る、なんて悠長に構えていたらあっさり自滅です。生き残りのためには食料が確保できるところ、つまり港湾機能を備えた沿岸部を押さえなければならないでしょう。そこで輸入するなり海外からの援助を待つなりして食料を確保しなければ、生き延びるのは難しいでしょう。なにしろ国内の農業は開放経済の中で疲弊しきっており、肝心の農民たちが騒乱の先頭に立っているでしょうから。もちろん沿岸部まで届いた食料が内陸部まで運ばれることはほぼないでしょう。
 国軍が機能していればここまでひどい事態にはならないでしょうが、中南海での権力闘争が同時に勃発するようなことがあれば、今まで書いてきたようなことがおこらないとは限りません。深刻な食糧危機が発生し、中国がその面子のために国際社会に対しての救援要請を遅らすような事があれば、中国社会は再建不能のダメージを受けることになるでしょう。