龍神沼の自由帳

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空母及び空母改造予定艦

 10000トン級の艦は、将来の空母化の際その工事が煩雑になることを避ける為、最上型軽巡と同様に汎用性を持たせた基本設計を元にそれぞれの用途に合わせた艤装を施すよう計画され、水上機母艦3隻と潜水母艦1隻高速給油艦が2隻合わせて6隻が建造されることになる。これらの艦の基礎設計は、ロンドン条約締結後建造された2隻の空母の内の1隻飛隼の艦型に合わせて設計されている。飛隼は龍驤に続いて建造された小型空母で、基準排水量10500トン全長198m最大幅18.9m速力30.5ノット航続距離16ノットで12600km、格納庫は2段で搭載機は常用33機補用9機(分解格納)の42機、対空兵装は12.7センチ連装高角砲2基4門と25ミリ連装機銃を10基装備する*1最上型と同様条約明けに兵装・防御を増強できるよう設計されていた。各艦の改造後の要目はこれに準ずるものになる予定だったが、初期建造の3隻は初期計画の数値で納まったものの中期以降建造された3隻とその後当初から空母として追加された1隻は、その後の性能要求に従って若干大型化している。中期型は基準排水量12500トン全長205m最大幅19.4m速力29.5ノット航続距離16ノットで13500km、搭載機数常用36機補用6機計42機、対空兵装は改装後の飛隼に準ずる。後期型として当初から空母として建造された1隻は、基準排水量13500トン搭載機数常用補用計48機と、更に大型化している。当初飛隼の同型艦1隻が計画されていたが、完成が条約明け後になるのを睨んで新規に中型空母として再設計されることになる。これが日本海軍初の正規戦闘空母蒼龍で、以降の大型空母の基礎となる近代的な設計の空母だった。さらに準同型艦として飛龍が追加建造されるが、この艦は起工自体が条約明けになることから、蒼龍の設計から大幅に変更がなされている。
 尚この時期空母改造予定艦が多数計画されたのは、室戸沖事件の影響を受けて戦艦巡洋艦から航空兵装を外し、空母搭載機に偵察哨戒弾着観測等の任務も持たせる構想が具現化しており、そのため多数の空母が必要とされていた為である。

*1:条約明け後高角砲は連装2基4門が追加装備された。