龍神沼の自由帳

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横山信義『海の牙城』サイパン沖海戦を予想する

 ウェーク沖で日米機動部隊が不期遭遇それぞれ目的を果たさぬまま作戦中断、粛々と日本軍マーシャル撤退。米軍、正規空母7隻軽空母8隻モンタナ級2隻アイオワ級2隻サウスダコダ級4隻その他多数を揃えてマリアナ侵攻作戦開始。対する日本軍は正規空母翔鶴級2隻大鳳飛龍級2隻雲龍級2隻赤城加賀武蔵信濃伊勢日向の大型改造空母、軽空母隼鷹級2隻千歳級2隻竜鳳日進計19隻*1と戦艦5隻その他で立ち向かう。
 [戦闘経過1]米高速機動部隊によるマリアナ空襲、戦闘機中心に配備された陸海軍航空部隊による迎撃戦により双方とも大損害を出したものの、日本軍はマリアナ方面の制空権をかろうじて維持する。マーシャルから撤退した為トラックを出撃拠点として使用できなくなった連合艦隊は、事前の情報戦により米軍の作戦発動を早期に察知していたものの、タウィタウィからマリアナまでの距離は遠く米軍の第一撃は傍観せざる得なかった。
 [戦闘経過2]緒戦で航空戦力を消耗した米機動部隊は航空機の補充の為いったん後方に下がる。替わって護衛空母から発進した戦闘機群に直掩された米高速戦艦部隊がマリアナに向かって猛進する。日本軍航空兵力による対艦攻撃力が弱体であるとみての、マリアナ航空戦力の艦砲による撃滅作戦である。航空機の補充を済ませた米機動部隊は、潜水艦により察知された日本海軍機動部隊と戦う為再びマリアナ方面に向かう。更にその後方からは旧式戦艦群や護衛空母に守られたマリアナ侵攻水陸両用部隊が続いていた。
 [戦闘経過3]マリアナ諸島南西海域で日米の機動部隊は激突、双方とも数次の攻撃隊を繰り出し交戦する。技量に勝る日本軍の航空隊に対し数で押してくる米軍、艦隊防空能力では米軍が優位に立つが日本軍も2隻の装甲空母が攻撃を吸収することで損害の拡大を何とか抑えていた。一方米軍マリアナ砲撃部隊はほとんど抵抗を受けることもなく進撃を続け、サイパン島を目視する距離まで艦隊を進める。前衛の駆逐艦が海岸一帯に制圧射撃を加えようとウェーキを長く伸ばしながら突進してくる。米戦艦群はその主砲をアスリート飛行場に向け始めた。突然サイパン島の一角に閃光とともに巨大な爆煙が捲き起こる。ひとつではない、次々と現れる爆煙の中から米艦隊に向けて黒点が飛翔してきた。すさまじい勢いで水柱が天に向かって伸びていく。衝撃で艦体が揺さぶられる。米戦艦群はサイパンテニアンに配備された、戦艦主砲を転用した要塞砲群による砲撃を受けていた。その巨砲は、空母に改造された為に不要になった信濃武蔵の46センチ砲、柱島から引き上げられた第一艦隊の40センチ砲や36センチ砲、バリクパパンから浮揚された伊勢日向より撤去された36センチ砲などで、その合計門数は50を超えていた。このとき米軍が自らの損害を省みず飛行場を砲撃していたら、その後の戦闘の推移は大きく変わったかもしれない。しかし米艦隊はその砲撃目標を要塞群に変更、海陸の間で激しい砲撃戦が始まった。上空には双方の戦闘機が飛び交いお互いの弾着観測機を狙い守りながら空中戦を繰り広げ、海岸の砲台からは12〜15センチ砲が米駆逐艦巡洋艦に向かって撃ち込まれ、また米艦も海岸一帯を焼き尽くすかのように反撃を加える。天地を覆いつくす大乱戦の中、日本軍の真の切り札たちが海中を高速で米戦艦群に忍び寄っていた。

*1:斜体字は無理っぽいから15隻が妥当かな