龍神沼の自由帳

気が向いたら更新しますわ

協調利下げは時間を稼ぐためのもの

なんのためかっていえば、アメリカの金融産業は、現状のままではいずれ来る米住宅価格の下落によるリセッションに耐えられないからだ。とりあえず株価の下落を防ぎ、金融企業がサブプライム関連のクレジットクランチで蒙った痛手を癒すための時間稼ぎ、それが協調利下げ・協調市場介入の目的である。EUが自身の都合でそれを乱したとき、アメリカの金融企業はエマージング市場から全面的に投資資金を引き上げざる得ない状況に陥る、というか1月22日に現実としてそれは起こりかけた。放置すればそれはエマージング市場の崩壊を引き起こし、それが連鎖的に波及して世界の株式市場を壊滅させるところまで行ったかもしれない。もちろんそれはEUにも返ってくる。
EUチキンレースでもやっているのか、いったいそれで何が手に入るのか、インフレファイターのポーズを気取るための代償として投資市場を懸けるのか、行過ぎた度胸試しは世界経済の破滅につながるというのに。
インタビュー:G7協調利下げは考えにくい=平野前日銀理事:ロイター

前略
 「調整の痛みを和らげる策は、金融・財政政策のマクロ政策になる。金融政策面では、米国も動き始めておりその対応は重要。難しいのは、今回、コアインフレが2%を大きく上回る状況のなかでどこまで下げられるのかというジレンマを抱えている。ただ、今の物価状況はかなりの部分がエネルギー価格の上昇から来ており、経済についてはインフレ的な影響を及ぼす面もあればデフレ的面もある。単に物価が高止まっているから金利が下げられないということでいいのか、あるいは思い切った対応が必要(となるかだろう)。最終需要に働きかける財政政策にも一定の役割はある」
中略
 「政策協調についても、問題の性格に対する共通の理解にたってそれぞれの国が置かれた状況に即して金融システム対策を取りマクロ政策を運営することだ。それに尽きる。G7諸国が足並みをそろえて何かをすることは適当でないし、現実的でない。市場がそういう協調行動を期待しているのであれば、誤った期待になるだろう」

 「なぜならば各国が置かれている状況が違う。日本は金融システムは動揺していない。しかし、外需依存型の経済成長のためマクロ経済的な面での影響がある。そこをどう考えるかだ。一方、欧州は、金融システムが不安定な部分があるが米国ほどではない。実体面では米経済減速の影響を間接的に受けるだろうが今のところは底堅い。しかし、物価水準はECBが物価安定の定義とする2%をはるかに超えている。米国と歩調を合わせて金利を下げたり、財政政策を取る状況ではない」
後略

EUはインフレ如きと世界経済を天秤にかけるべきではない。それともユーロがさがるとインフレ以外に拙いことでも起きるというのか。・・・まあ欧州の金融企業が内緒だけどかなりやばい状況にあるっていうのはわかるけどな。