龍神沼の自由帳

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なぜヒズボラを擁護するの?

レバノンでは今民主主義に対して宗教による挑戦が続けらている。自らも参加した選挙によって選ばれた政権を退陣させるべく行われているヒズボラの運動がそれである。これにたいして国際社会は現政権への支援を続ける方向で動いているが、報道はこのヒズボラの無法にたいして沈黙している。明らかにこの行為は間違ったサインを彼らに対して発信している。
西側のマスコミの大半は、イ・ヒズボラ戦争のときヒズボラに同情的イスラエルに批判的なスタンスで報道していた。現状においても相変わらずイスラエル悪玉的報道が続いている。実際はヒズボラが一方的に仕掛けた戦争にもかかわらずだ。軍事力で圧倒するイスラエルの弱いものいじめ的な攻撃に果敢に反撃するヒズボラ戦士的な、判官びいきの幼児的な報道ばかり続け、その一方でヒズボラが2万発のロケット弾を持ち無差別にイスラエルに発射していることや、レバノン民衆を盾にした卑怯な戦術を取っていることは取り上げない。表現は非常に悪いとは思うが、イスラエルにとってヒズボラは家の隣の藪にできたスズメバチの巣と一緒なのだ。イスラエルがそっとしておいても、スズメバチであるヒズボラは勝手に襲ってくる。イスラエルとしてはスズメバチの巣を取り除くしか手が無いではないか。スズメバチの巣を取り除くためにわざわざ刺される危険を冒す物好きなどいないだろう、同様にイスラエルが持てる力をフルに使って安全にヒズボラを排除しようとして何が悪いというのだ。ヒズボラは自らイスラエルの攻撃を招いたのであって、決して被害者として同情される立場ではない。
結局マスコミが受容者に対して感情的な部分で共感を得ようと、単純に強者対弱者の視点で善悪の判断を下してしまったことが現在のヒズボラの増長を招いてしまっているといえる。現在のレバノン国内においては、イラン・シリアの援助を受け強大な軍事力を持つヒズボラこそが強者であり、その力を背景に現政権に民主的手続きを踏まずして自らの意志を押し通そうとしている。それに対してマスコミはかつて自分達が作った正邪の枠組みの欺瞞が暴かれることを恐れ、非民主的なヒズボラの行為をあえて見えないものとして彼らへの非難報道をしないのである。
ところでイスラエル参謀総長が軍本流から選ばれた、とのことである。イスラエル軍、トップに陸軍本流 思うに今回のヒズボラの政権打倒運動が半ば失敗に終わったことが、逆にイスラエル軍部の危機感を煽ったのではないだろうか。つまりヒズボラが人気浮揚を図るために、ふたたびイスラエルに対して軍事行動を起こす可能性をイスラエル軍部が嗅ぎ取り、警告の意味を含めた人事異動を行ったとも考えることもできる。今度は手加減無しで徹底的に叩くぞという。いや単にレバノンヒズボラにのっとられることを想定しただけかな。それともレバノン国民への威嚇か。
ヒズボラも含めて宗教武装勢力の民心掌握の手段は、基本的にパンとサーカスである。施しと軍事行動、施しは貧しさの根本的な解決につながらないし、軍事行動は勝利には程遠くただ和解の道を遠ざけるだけである。それに喝采をあげてしまう追い詰められた民衆の絶望、なぜ彼らは軍事力を伴わない和解の道にたどり着けないのだろうか。イスラエルが中東全土に野心を持っているわけはなく、パレスチナ自治独立さえ望んでいるというのに。