経済発展目覚しいらしい中国様でも、外資がどんどん投入されているのは沿海部の上海周辺だの広州だのといったところです。内陸部は貧困の巣窟、沿海部への人材供給地でしかありません。なぜかって聞かれるまでもなく産業インフラが整備されていないからです。水上輸送と陸上輸送では輸送効率に大きな開きがあります。もちろん水上輸送のほうが安価に大量に物を運べます。沿海部だとまず輸送面で有利なので、インフラ整備にかける費用が内陸部に比べって大幅に少なくて済むことが、双方の工業化の進展に大きな開きが出ていることの最大の理由でしょう。
目を転じて日本、細長く、海に囲まれたわが国土は全周がすべて沿海部、平野部が少ないことを除けば工業立地の条件にぴったりです。しかもモンスーン気候のため年間降雨量が多く、工業に必要な水資源にも恵まれています。さらに高い教育を受けた均質な国民が多数存在し、産業インフラも整備されている日本、そして高度に工業化が進んでいるため、一次資源以外のほとんどの材料を国内でまかなえる。こんなすばらしい国からなんで工場が逃げ出すのでしょう。人件費の安さに目を奪われて多くのメリットの存在が目に入らない企業なんて、中国と一緒に滅びてしまうのが当然でしょう。
