龍神沼の自由帳

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海の牙城4巻『太平洋の乱雲(仮題)』を妄想する 其の参

第3章 -小笠原沖海戦-
 ハルゼーには三つの選択肢があった。計画に従って小笠原マリアナを攻撃、ハワイから戻る日本艦隊の迎撃、いったんマーシャルに戻り万全の態勢でマリアナ攻略を再開、ハルゼーが選んだのは小笠原攻撃だった。すでにグアム攻略部隊が出撃していたことが、第3艦隊から作戦行動のの柔軟性を奪っていた。
 硫黄島を中心として配置されていた海軍航空兵力は、戦闘機のほかは哨戒機や偵察機がほとんどだった。硫黄島は本土とマリアナを結ぶ中継地点として重要視されていたため、守備兵力も多く、島自体も航空中継基地機能を維持する為緊密な防御体制が敷かれていた。飛行場自体も機械化された管理部隊を持ち、その維持補修能力当時の日本軍としては例外的に高かった。配備された戦闘機部隊は烈風が主力で、錬度の高い搭乗員が揃っていた。
 米軍は空母部隊を4つの任務群で編成していた。小笠原にはそのうちのひとつが投入され、残りの任務群はマリアナ諸島攻撃の為南下していった。硫黄島に向かった米軍の第一波は、戦闘機の迎撃と激しい対空砲火のため飛行場を破壊しきれず、その後も数次にわたって攻撃を続けた。米任務群の搭載機の消耗は大きく同日3時頃には攻撃を一旦中断し、戦力の回復を図るため北方に移動している。硫黄島航空部隊も損害は大きかったが、飛行場がかろうじて維持されていた為本土より増援を受けることができた。
 内地の主要艦艇を集めて臨時に編成されていた艦隊は、臨時に第二機動艦隊とされ米軍の攻撃圏外に逃れていたが、硫黄島防衛を支援する為小笠原方面に移動を始める。翌朝再度小笠原攻撃に向かう米機動部隊が偵察機に発見された。これに対して、本土からかき集めた攻撃部隊180機余りと、第二機動艦隊の攻撃部隊80機が共同攻撃を行った。米艦隊はこの時点で日本軍の反撃を想定しておらず、再度攻撃隊を硫黄島に向けて放っていたため40機足らずの直掩機を上げるのが精一杯だった。この攻撃の結果米艦隊の3隻の空母と5隻の護衛艦艇が損害を受け、軽空母1隻と巡洋艦1隻駆逐艦1隻が沈没した。米艦隊が放った攻撃部隊は増強された迎撃機のため再び攻撃を失敗、米軍は小笠原方面から退却し主隊との合流を図った。
第4章 -ウェーキ殲滅戦-

第5章 -マリアナ沖航空戦-

第5巻 『マリアナの残照(仮題)』につづく