龍神沼の自由帳

気が向いたら更新しますわ

南雲提督のナイス決断

 利根4号機がミッドウェイ北方に米機動部隊を発見したのは、ミッドウェイ島に対する航空攻撃の戦果不十分により再度の攻撃が決断され、対艦兵装で待機中の攻撃隊を対地攻撃用に兵装転換を開始してからだいぶ時間が経過してのことであった。ここで兵装転換を中止し、対艦対地兵装混在のまま発見された敵機動部隊へ攻撃をかけるのも一つの手であった。しかしこの時点でミッドウェイ基地航空部隊による一航艦への攻撃が連続しており、その迎撃に相当数の戦闘機を投入していたため、攻撃部隊に対する直掩機が不足していたことと、対地兵装機による攻撃では敵艦隊に対する打撃力が充分でないことから敵機動部隊に対する攻撃はいったん見送られた。続いて現在行われている兵装転換を中止し、攻撃隊の対艦兵装への再度の転換が検討されたが、敵機動部隊からの攻撃が予想され、しかも現状においてもミッドウェイからの航空攻撃を受けているなかでの兵装転換はリスクが大きすぎるとして取り上げられなかった。
ここで第三の方策として、艦上に燃料、爆弾を抱いた航空機を満載したままで敵航空攻撃を受ける愚を避けるためと、言って見れば第三の空母*1ともいえるミッドウェイ島の基地機能を完全に破壊することを目的として、対地兵装への転換を続行、準備ができた部隊から順次ミッドウェイ島に向けて攻撃隊を発艦させることが決定された。第一次ミッドウェイ攻撃隊が収容されはじめる前に攻撃隊の発進を終らせる必要があるため、それまでに兵装転換が間に合わない機体は、兵装無しでいったん発艦させ艦隊周辺の哨戒任務に充てることとされた。尚第2次ミッドウェイ攻撃隊の直掩機については、第一次攻撃隊によってミッドウェイ防衛隊の米戦闘機の多くを撃墜破していることもあり、10機前後が随伴することになった。

*1:当時日本海軍では珊瑚海海戦での戦果判定等から米海軍の動員できる母艦戦力を2隻と見積もっていた