龍神沼の自由帳

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武蔵が不運を着替えたら(正式タイトル『二天の戦海』)

てことで、先日の大和が輝く話の真の主役は戦艦武蔵。空母化に際して3番砲塔を残したのはもちのろん、二天一流です。戦艦空母武蔵、なんて素敵な響きでしょうか。薄幸の空母信濃と、殆んど活躍もないままシブヤン海に沈んだ武蔵、不幸×不幸が合体することで、ハッピーな軍艦ライフが待っている、まあそんなストーリーを描いてみたわけです。
不幸其の1、進水失敗。結構有名な話で、武蔵を建造した三菱長崎造船所は長崎港にあるんですが、ここ、港の狭隘部に船台があるんで、進水の際そのまま勢いに任せちゃうと、対岸に艦尾が激突しちゃうという面倒くさい造船所でして、錨を重しにしたりして勢いを殺さなくちゃいかんのですが、これを見事に失敗しちゃったっつうところからお話がスタートします。対岸にぶつかれば当然いろいろと修理が必要になって完成が遅れますね。武蔵自体に罪があるわけじゃないんですが、航空主兵で今更戦艦なんてと批判的だった山本さんなんかは、これを奇禍として戦艦無用論なんかぶちあげて、おりしも勃発していた欧州大戦を事由に、危急の際建造期間の長さから戦局に寄与しないとして、大和型4番艦である111号艦の建造を急遽とりやめさせちゃったりします。で、空いたドッグでは当然ながらお気に入りの空母を緊急に建造させるわけです。
不幸其の2、連合艦隊司令某重大事件。ケチがつき始めるととどまるところを知らない、というよりは晴れの門出の進水式を失敗したことから「この艦運が悪いんじゃないの」という噂が出まわり、些細な事故とか続いてもやっぱりこの艦は呪われているんだとか盛り上がっちゃって、どげんかせんといかんということになり、ミッドウェー攻略が決まってちょっと暇ができた山本さんに、厄祓いの長官武蔵艤装工事視察なんていうのがお願いされてしまいます。武蔵の事故をだしに4番艦の建造をとりやめさせた後ろめたさもあり、忙しいなか時間を作って工程の進捗を視察する山本さん、足元が疎かになって段差にでも引っかかったのかタラップで転倒、運悪く足を骨折しちゃって、武蔵不運伝説に新たな1ページを加えることに。聯合艦隊司令長官兼第1艦隊司令として、大和を旗艦に大名行列を組んでミッドウェーに出張る予定もキャンセル。もともと第1艦隊なんかミッドウェー攻略に必要なんかあるわけないんで、せめて大和だけでもはじめてのおつかいに出してあげたい、という山本さんの親心から、急遽戦艦大和が第一航空艦隊旗艦として南雲提督に押し付けられてしまいます。
(大和奮迅其の1、ミッドウェー海戦に続く)