龍神沼の自由帳

気が向いたら更新しますわ

人口減少社会における消費喚起についての一考察

(twitterで呟いたのを普通のエントリに直すテスト)
少子化によってもたらされる深刻な問題は、よく言われる労働人口の減少ではなく消費人口の減少と考える。労働人口は生産性の向上とかエントリーの枠を広げることでカバーできるが、消費人口の減少は、工業生産財から情報生産財に消費のシフトを変えない限りカバーできないだろう。なぜならすでにわれわれは必要以上のものに囲まれて生活しており、しかもそのコストは世界規模の価格競争により低く抑えられてしまっている。われわれは望めばたいていのものを安価に手に入れることができる時代に生きている。物の消費による消費の拡大自体ががすでに限界に達そうとしているところで、その消費を行う人間の数が減少、さらに高齢化により消費形態も物の消費を減少させる方向に進んでいる。そんな時代において、生産人口の減少を問題として俎上にあげる考え方自体がおかしい。
物の価値がコストにより算出される時代から希少性?に価値を見出す時代へとパラダイムがシフトしていかなければ、われわれは際限のない価格競争から抜け出すことは叶わない。現代においての希少性に価値を見出す生産物の一例として、いわゆるオタクと呼ばれる特定集団の消費形態があげられる。彼らの購買欲をそそるのは価格でも機能でもない、自己の所有欲を満足させる彼らにとって特別なものなら、あらゆる努力と費用を厭わず手に入れようとする。その特別には色々なものが当てはめられるのであり、もちろんそこには工業製品も含まれるが、その消費形態は通常の工業製品とは違った形になり、それを手に入れるためには価格にプレミアムが付こうが厭わない。そういう特別なものを消費のマスの部分にまで広げることができれば、総量としての消費は大きく底上げされることになるだろう。それは違った視点から見ればバブルであるかもしれない。コストの積み上げから導き出される適正な価格でなく、購買者がその価値を認めることによって作り上げられる価格故に、価値観が変わる事によってその価格も大きく変動することも考えられる。そこでそこに行政による制度を付加することにより一定の基準を作り上げ、極端な価値の変動を防ぐことも考えられてもいいのではないか。そういう制度は農産物のランク付けなどすでに機能しているものがある。芸術品に対しての等級による権威付けは流石にナンセンスだが、職人的技能に関しては等級をつけその生産物に対して価格的差別化をはかることができるのではないだろうか。あるいは理容、マッサージ、接客、各種修理等の技能職においても、その技能の甲乙によってランクを決め、それを看板にすることができれば、利用者は自己の満足にあわせて選択しそれぞれの選択に見合ったコストを支払うことになるだろう。
時代は今「満腹から満足へ」と向わなければ成らない。消費者の価値観を満たすことこそが、人口減少社会における消費拡大のための方策であることを龍神沼は確信している。
*1

*1:ググっても見つからなかったので「満腹から満足へ」のオリジナル宣言しておく。「モーレツからビューティフルへ」とどう違うのかなんて聞かない