龍神沼の自由帳

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高金利政策の修正はEU経済の凋落の第一歩

ECBが金利を上げたがったのは決してインフレ抑止のためではない、ってだいぶ前から言ってるんですが、ECBが金利政策を金融緩和に変更したら、案の定ユーロが暴落です。ECBは決して馬鹿ではなかった、EUの繁栄がユーロ高に釣られて世界から集まってくる資金による株価と不動産のバブルに支えられているということをちゃんと自覚していたんです。もちろんそんなこと決して口に出すわけには行きません、EUの繁栄が金利高によってもたらされたバブルに支えられているなんてばらしたら、あっという間に資本が跳散してしまいますから。
で、インフレファイターを気取って高金利政策を続けていたんですが、まず資源価格の急落でインフレ抑止という外堀が埋められ、サブプライムローン問題に端を発する金融恐慌に内堀を埋められ、しぶしぶ金利を下げたら急転直下、今までの付けを払わされるが如きユーロ安、株安、不動産安のトリプルアタックです。たぶんまだまだ止まりません、世界的な資本不足の中でまず金融恐慌に歯止めが掛けられない、状況は既にアメリカよりも悲惨です、各国中央銀行の支援によってやっと生きながらえているような金融機関ばかりなんですからね。しかもEUというくくりの中では、金融機関の破綻の連鎖にストップを掛けるのが非常に難しくなっています。EUの中では人も物も資本も自由に流動するため、相互依存が大きくなり過ぎているからです。
サルコジはドル基軸体制の終焉を主張していますが、本音はアメリカ救済よりもEU救済を優先しろといっているだけです。アメリカとEU、どちらも助けるには世界の余剰資本はあまりに少なすぎるため、俺んとこに優先して金を出せと要求している、それだけの話です。実際のところ金融資本の受けたダメージは、おそらくEUのほうがアメリカよりも大きいでしょう。エマージング市場に資本を大規模に投入して、そのほとんどを焦げ付かせているのはEUですから。だからG20でも運命共同体新興国と協力して、ドル基軸体制の終わりを強調しているのです。