龍神沼の自由帳

気が向いたら更新しますわ

新冷戦があるとしたら、拡大EU・ロシア間でしょう

アメリカとロシアの間にはWIN-WINの関係しかないでしょう。対中牽制、対EU牽制、イラン・シリアの暴発の押さえ、原油価格の秘密カルテル、お互いの利害関係を考えると、協調したほうがメリットが大きい。もちろん表面的には対立しているように見せかけていると、この協調の有効性がさらにアップする。たとえば対イスラム、国内に対イスラム緊張要因を持つロシアですが、イスラム強硬派諸国を支援する姿勢を見せることで、国内やCIS諸国でのイスラム勢力の暴発を外側から制御することを可能にしています。イスラム強硬派諸国がロシアに擦り寄るのは反アメリカ勢力としてのロシアに期待するからで、アメリカの存在がロシア内部のイスラム勢力の動きを抑えてるといっていいでしょう。同様にアメリカもまたロシアの力でイスラム強硬派諸国の動きを監視制御することができるわけです。旧冷戦時代の2極支配を21世紀に入って再現しているわけで、表面的な対立と隠蔽された協調というのは米ロ関係の深層で連綿と続いているのです。
EU、米国にとってもロシアにとっても拡大EUは、それぞれの潜在的な勢力圏を切り取る存在といっていいでしょう。ドル主軸通貨体制からユーロ主軸通貨体制へのチェンジとか、アメリカにとっては悪夢以外の何物でもありません。また復活なったロシアの当面の目標は旧ソビエト勢力圏の復活ですが、それが拡大EUによって侵食されていることはロシアには容認しがたい現状です。米ロにとってEU潜在的な対立勢力とみなされています。グルジアの事件はロシアによるEUへの反撃の第一歩と見ていいでしょう。アメリカはグルジアを焚きつけるだけ焚きつけて、その後はロシアによる蹂躙を放置しました。アメリカはグルジアがどうなろうと実はどうでもいい、グルジアの混乱で痛い目にあうのはグルジア領内を通るパイプラインに頼るEUであり、それはアメリカにとって見れば原油高ドル高につながり自国の利益になるわけです。同様に原油相場の反転により苦境に陥りかけていたロシアにとっても、原油価格の高止まりはメリットであり、さらにパイプラインを押さえることでEUに対して優位な立場を築くことにもなりました。グルジアの騒乱は実は米ロの密約によって仕掛けられたものである、と龍神沼は考えています。
これからも同様に米ロは対EU対中国政策で、見せかけの対立の下でお互い協力を続けていくでしょう。これをもって第2次冷戦体制というのなら、それはかつての2極支配体制の復活ということで間違いではないですね。