龍神沼の自由帳

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ロシア対旧EU諸国(てか独仏)

プーチンの指導下、資源価格の高騰という追い風もあって急激な復活劇を演じてきたロシアですが、この先ロシアが狙うものは何か、ということでちょっとだけ。
現在独仏を中心としたEU諸国がユーロ高の下繁栄を謳歌しておりますが、これってアメリカが冷戦に勝ち(旧東側諸国の自壊という話もありますが)かつてのワルシャワ条約機構下の東欧諸国が拡大EUに取り込まれてしまったことがその繁栄を支えているということは、誰も言わないけど(言ってるかも)ちょっと訳知りの間では共通認識な話であります(98%でまかせですが)。つまり旧EU諸国は戦わずしてかなりの部分整備された(アジア・アフリカ・南米等の諸国に比較して)工業インフラを持ち、高等教育を受けた良質な人材を多数自前で揃えることができる経済的植民地として東欧を獲得したのです。もちろん真の功労者はアメリカであり、勝利の報酬としてアメリカが獲得すべきものだったのですが、既にこのころにはアメリカの工業部門は衰退を続けており、東欧をアメリカのための生産基地として活用する力をなくしかけていました。またより低廉で低技術レベルの産業なら、より低コストで生産できる中国がこのころ世界の工場としてその力を伸ばしていましたので、わざわざ東欧に工場を展開する必要はありませんでした。まあEU諸国にしてもそのころは不況下にあり(てか世界同時不況ですわな)東欧に対する視線は消費地としてしか持ち得なかったわけですが。
その後主に日米を中心として中国大陸への経済進出が怒涛のごとく続くんですが、その間独仏の企業は東欧に対して積極的な工場進出を図るわけです(もちろん中国にも進出しますが、どちらかというと中国を生産基盤に使うというよりは、中国市場の獲得が目的でした)。こうして日米が中国に目を奪われている間に東欧は拡大EUに取り込まれ、西欧企業の生産基地として着々と経済的植民地化されていきました。また東欧の優秀な人材は国外に次々と流出することになり、民族系の企業は育たない、生産から流通まで独仏を中心とした旧EU企業に牛耳られてしまいました。
EUとして同じユーロを使っていようが、結局金持ち国はいつまでも金持ち、下積みの国はずっと下積みであると既に東欧諸国は気づいています。これだったら、政治的には息苦しかったけれど旧ソ連邦傘下で衛星国家として生産に励んでいたころのほうがまだ良かったのではと、科学技術ではソ連にはかなわなくても生産技術や効率、工業製品の水準ではソ連を上回り生活水準でもソ連並みかそれ以上を維持していたあのころのほうがまだましだった、そう旧東欧諸国が考えていないと誰が言えるでしょうか(まあ言ってるのは俺だけですけどね)。
そこで復活ロシアです。確かにロシアは復活しました。しかしかつての覇権国家としてのソ連に比べると領土も人口も生産力も減少しています。特に工業生産は、旧ソ連の国家分業的な工業立地政策が足を引っ張っており、まともな工業とか軍需産業以外ほとんど残っていません。またかつて従えていた多くの同盟国も、今では旧ソ連邦内の諸国しか残されていない状況、かつての威信を取り戻し更に生産基盤を手に入れるのに、EU下で産業基盤を再整備された旧東欧諸国を取り込むというのは、かつてのつながりもあるし具現的な課題であるといえます。
というところで早晩訪れるであろうEUバブル崩壊によるリセッション、その際余剰とされるであろう東欧の工業生産力、その引き受け手及び東欧諸国のの経済援助者としてロシアがEUの対抗者として現れることになるでしょう(ちゃんちゃん)。