龍神沼の自由帳

気が向いたら更新しますわ

問題はサブプライムローンによる信用収縮にあるのではなく、サブプライムローンの破綻を招いた米国不動産市場のバブル崩壊にある

アメリカ住宅バブルの現状と展望 :株式会社日本総合研究所 調査部 マクロ経済研究センター 野村 拓也 氏

また、現実の住宅価格は「適正価格」から大幅に乖離しているだけに、金利上昇がきっかけとなって住宅価格が一段と下落する可能性を否定できない。そこで、住宅価格の下落幅の大きさと、その個人消費に対する影響の度合いの関係を見極めるために、一定のペース(前期比年率+0%、+3%、+6%)の名目消費増加率に見合った住宅価格の水準(住宅価格下落の影響を、所得増や株価上昇の押し上げ作用が減殺し、結果として名目個人消費の伸びが前期比年率+0%、+3%、+6%となる住宅価格水準)を試算した。その結果は、以下の通りである(図表8)。
①)住宅価格が28%程度下落して「適正価格」へ収束していった場合、名目個人消費の前期比年率+0%成長ライン(実質ベース:同▲3%)を下回ることとなり、アメリカ経済は大打撃を受ける。
②住宅価格が13%程度下落した場合、名目個人消費伸び率が過去のアメリカのリセッション時と同等レベル(前期比年率+3%)になり、アメリカ経済は景気後退に陥る可能性が高い。
③ 名目個人消費伸び率が巡航速度である前期比年率+6%(実質ベース:同+3%)を維持するためには、住宅価格はおよそ5%程度の下落にとどまる必要がある。つまり、住宅価格が大幅に下落した場合、個人消費、ひいてはアメリカ景気全体に極めて深刻な影響が及ぶことは避けられないと判断される。
景気に多大な影響を与えることなしに、住宅「バブル」を収束させるためには、前期比年率数%程度のマイルドな住宅価格の調整を、時間をかけて行うことが求められる。さらに、過熱感により現在の住宅価格がファンダメンタルズに見合った「適正価格」を大きく超えていることとは逆に、「バブル」崩壊による急速な冷え込みを反映して、住宅価格がその「適正価格」からさらに下落することも考えられる。この場合、「消費減少⇒景気後退⇒所得減少⇒住宅投資減少⇒住宅価格下落⇒消費減少⇒・・・」という負のスパイラル的な悪化が生じるリスクが高まると懸念される。

で、米国の住宅価格は下がり続けていまして、これからローンが払えず住宅を手放すケースが激増してくるでしょうから、最悪のケースまで想定しておいたほうがいいのでは。