龍神沼の自由帳

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利己主義でごめん

日本が平和で、日本人が平和ボケ民族でいられるのは、日本の地理的状況とほぼ単一民族である日本人の構成、宗教から一歩はなれたところで生活する日本人のメンタリティによるところが大きいと思う。地球が宇宙の中の貴重なオアシス的存在であるなら、日本は地球の中において随一とは言わないまでも非常に優れた環境を持った貴重なエリアであるだろう。しかも世界規模で見れば日本は非常に豊かな階層に属する国家であり、周辺国家からみて日本は憧れの地であると言って良い。当然その日本に行きたい、働きたい、居住したいと考える人たちがお隣の韓国や中国をはじめとして数多くいるわけで、日本が他国からの移民の受け入れを原則として認めず密入国出入国の管理を厳しく行っていることも、国家の繁栄と国内の安寧を保つことに大きな貢献をしている。
現在日本では少子高齢化や激しさを増す国際競争に対応するため、限定的にではあるが国家間での労働力の移動を認める方向で動いている。技術者や看護師等の高度技能保有者に限って、労働者の日本への移入を緩和するための立法化が進められている。もちろんこれは日本にとって必要なことであり反対する理由はない。ただここで考慮しておかなければならないのは、移入してきた労働力についての管理の徹底である。留学生として、技術研修生として、芸能興業目的で、と日本政府の認証を受け入国した外国人のうちのどれだけが日本に不法滞在し当初の目的から離れたところで不法就労しているか、その辺のフォローをきっちりしておかないと、更なる不法滞在不法就労を呼び寄せるだけであり、日本の労働環境や治安の悪化につながってしまう。
さらに考えておかなければならないのは、周辺アジア国家の政治経済的不安定状態である。当面注視しておかなければならないのは、もちろん北朝鮮である。この国は経済的に既に破綻しており、金正日体制の今後によっては政治的にも破綻し国家が崩壊する状況が考えられる。その際2200万の人口のうちどれだけが難民化するか見当もつかない。状況によっては韓国経済の破綻を招き、南北両国家で大規模な経済難民が発生することも考えられる。そして中国、現在異常なまでの経済発展を続け、覇権国家として世界にその影響力を行使しようかという大国ではあるが、その足元では国民間の所得格差が拡大し、共産主義国家にもかかわらず持てる者持たざるものの懸隔は往時の中華帝国を凌駕するまでになってきている。きわめて政治的に不安定な状況を軍事警察力を動員することでかろうじて抑えているのが現在の中国である。しかも頼みの綱の経済も、北京オリンピックに伴う各種公共工事が終わる2008年以降には、膨れ上がった土地バブルの自壊、内陸部経済の壊滅的状況、中国全土を覆いつくそうかという産業廃棄物汚染、農地の減少と農民の疲弊さらには慢性的な水不足による農業生産力の減少による食糧危機の顕在化など難問が山積している。頼みの工業力も結局のところ三角貿易の中継点に過ぎず、国内消費の停滞ともあいまって産業の技術水準が上がらず、世界の違法コピー商品の最大供給国家というレベルにとどまっており、国内の低賃金労働の対価としてドルを溜め込みまくっているにすぎない。中国共産党が国民の不満を国家権力によって抑えきれない事態は、食糧暴動や賃金闘争、反企業環境保全運動、辺境地域における民族独立運動法輪功等の反政府的宗教活動などが同時多発的に起こり、それぞれが連携をとったとき一瞬にして起こるかもしれない。既に企業と癒着した地方政府の暴虐により、中国国民の大多数を占める農民や農工など中国民衆の国家に対する不信と絶望感はほとんど沸点に達しているのである。中国共産党政権が瓦解した後起こること、それは中国人民のアジアへの大拡散であり、飢餓と暴力の輸出であろう。当然巻き込まれた弱体な周辺国家には、対応しきれず自らも国家が崩壊してしまうところも出てくる。強権的な国家なら難民の自国への侵入を防ぐため、武力によって国境を封鎖し流入する難民を銃火で押し返すだろう。
日本はどうなのだろうか、既に狭隘な国土に1億2千万の国民が居住するこの国に、1千万単位で難民が流入する事態になったとき、日本は従来の日本のままでいられるのか。われわれ日本人は予測される最悪の事態を、長期的な視点で考えておかなければならない。もちろん軍事的なオプション込みで。日本はどれだけの難民を受け入れることができるのか。受け入れないのか。受け入れるとしたらどういう体制をとってトラブルが起きないようにするか。入国体制は、受け入れる先は、受け入れた後彼らをどう扱うのか、難民を日本国民として将来的に扱うのか。仕事は与えられるのか、食料は確保できるのか、費用はどうするのか、従来の日本国家の枠組みを維持できるとして、何人までなら難民を受け入れられるのか。考えておかねばならない、たとえそれが杞憂に終わるとしても万が一の為に。また、難民を受け入れないときあるいはこれ以上難民を受け入れる余裕がなくなったとき、押し寄せる難民を阻止するためにはどんな手段が必要なのか、これは非情ではあるがその辺の法的根拠の整備を含めて考えておかなければならない、最悪の場合日本国自体が消滅し日本人までもが難民化してしまう恐れさえ充分考えられるのだから。
この辺の有事対応というのは、戦争や大規模災害への備えとともに当然政府として何らかの検討がされているものと思いたい。政府として余り表に出せるものじゃないけどね。