龍神沼の自由帳

気が向いたら更新しますわ

おっさんの主張1)価値観と価値観のがっぷり四つに向かおうぜ

高度成長期ぐらいから連綿と続いている地域コミュニティの解体および初等教育段階からの教育の階層化が、現代日本社会を分裂劣化に導いているという認識を持っている。上記の二つの現象が社会各階層間の相互認識と理解の機会を奪う方向に働いているということだ。その結果起こる相互の無理解が社会体制の不安定要素になり、更なる格差の拡大とそれに伴う底辺人口の拡大による社会不安に拍車をかけることになる。
社会において、いわゆる上層階級と下層階級が社会的接点を持つ機会は現代過去を問わず非常に限られている。例外としてあげられるのは、日本が近代化の時代に入った明治期から高度成長期にいたる昭和中期までである。階層間の交流の要因としてあげられるこの時代の特徴的なものとしては、明治維新及び太平洋戦争での敗北による支配的階層の没落による階層のシャッフルがある。また初等教育の義務化による教育制度の改革、徴兵制度の施行による社会階級とは無縁の組織*1内における人的交流、また地方都市や農村部での青年団活動や自由民権運動参政権運動等の政治運動なども階層間の人的交流面で役割を果たしている。
しかしこれらの仕組みは現代においてほぼ無効化されようとしている。徴兵制*2は敗戦とともに消えてしまった。階層のシャッフル効果は社会の安定とともに新たな階層社会の登場によって消滅していこうとしている。教育制度も新たな社会階層が確立されていく過程で、高額の費用を必要とする私学教育が拡大し機会の平等性が失われつつある。青年団のような地域コミュニティに依存する形で存在する組織は、地方経済の衰退や農漁村人口の減少による過疎化等の要因によりその存在基盤を失おうとしている。現代において階層を越えた交流組織というものは、限られた分野でしか見ることができず、それも階層化の進展に伴ってその姿を変えて行こうとしている。
階層化社会の終点は支配階級と被支配階級への固定化であり、被支配階級への社会的搾取構造の確立である。現在の格差社会に対しての論じられ方を見ていると、放っておけば間違いなく日本はそちらの方向に向かって進んでいくだろう。もちろんそれは最終的には社会不安の要因となり、誰の利益にもつながらないことはいうまでもない。*3
たぶん続く

*1:もちろん例外はかなりあります

*2:その是非については問いません

*3:そこまで思いつかない政財界の馬鹿共は、中国様がこれからどうなっていくかよく見ておくがよい