龍神沼の自由帳

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林譲治、死闘!特設第三水雷戦隊第3巻

 死闘!特設第三水雷戦隊これって、奮龍戦記とか銀翼艦隊系のストーリー展開ですね。軍事技術の開発がいろいろな偶然や戦訓の取り込みによって順調に進捗するけれど、それを帳消しにするような軍指導層の愚行のため戦局はなかなか有利に進まないという何度も繰り返されたパターンを今回も踏襲するようです。しかも今回は、善戦してるけれども米国に本土周辺まで押し込まれている戦争末期の情景を毎回巻頭のエピソードに入れているため、日本軍が現状圧倒的に優勢でもいずれはひっくり返される結末が待っているのがまるわかりで、そこに至るまでの間にいろいろな愚行が起こり、無意味にかつ無惨に戦力が損なわれていく描写を見なければいけないのかと思うとちょい鬱です。
 林譲治氏にかかわらず仮想系作家にはこのおかしなバランス取り、「日本軍が個々の戦闘では善戦しているんだが、最終的には日本を負けさせるため理不尽な敗北を作り出す」をする人が多い、それも読者に評価が高い人に良く見られます。古くは横山信義氏の「八八艦隊」、ポートモレスビーへの輸送作戦においての戦力の逐次投入による作戦失敗とそれに続く艦隊自沈とかトラック沖海戦での米潜水艦による空母狩りなどが思い浮かびます。この辺、日本が勝っちゃうと軍国主義的だ、なんていう戦後民主主義教育の弊害がみえてくるんですが見当違いかな。
 なんにしろ、日本が負けるなら負けるで、米軍の強大な戦力に善戦力及ばず敗退するみたいな納得できる描写をしてほしいですね。史実のミッドウェー海戦みたいな、ストレスの溜まる敗北は余り読みたくありません。それなら読まなければいいじゃないとかは無しの方向で。たいてい新刊で買うから、読まなきゃ判らないし。